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（04） 陽冠
	管制交信を聞きながら 次の便の離陸をどう撮ろうか思案していたが、 どうやら風向きが安定しないらしい。 滑走路の使用方向を逆にするよう パイロットが管制塔に要求してきた。 航空機は通常、風に向かって離着陸するが、 出発機のパイロットは 微妙な風向きにこの判断を下したようだ。 通称「タワー」と呼ばれる 正規の管制官が配置されている空港では、 パイロットはこのタワーの指示に従わなければならないが、 「レディオ」と呼ばれる田舎空港には 管制通信官が配置されていて、 パイロットはこの管制通信官から情報を得、 自分で行動を判断していく(*)。 滑走路西端でスタンバイしていた私は、 この交信を耳にしてすぐさま滑走路東端に車を走らせた。 日中は曇っていた空もこの頃には太陽が顔を出した。 「もしかしたら 　太陽と離陸機を絡めることができるかもしれない.....」 何度も狙っていまひとつ絵にならなかった構図に またもや挑戦してみた。 飛行機の離陸コースは、 機種と重量・ 風が離陸方向に正対する成分の強さ・ 気圧などで決まるが、 二度と同じコースは飛ばないと言っていい。 早い話が勘で撮るしかない。 何度も撮り慣れたこの場所で、 離陸コースの推測という極めて困難な課題に 頭をフル回転させる。 微妙に撮影ポイントを修正しながら カメラの撮影モードをセットしていく。 太陽が比較的明るくなったので露出はアンダー、 ブレは禁物なので シャッター速度は1/500秒以上は欲しいため 絞りは開放。 ピントは置きピン。 とはいっても 実際にピントを合わせる飛行機がないから 予想される撮影距離にある山林で代用。 いつものことだ。 離陸速度は時速約２５０キロ、 連続シャッターでは決定的瞬間はモノにはできない。 一発勝負、、、、、 そんなことを考えているうちに 離陸機のエンジンが唸り始めた。 レンズは200mm域で待機させるがまだカメラは構えない。 離陸機のコースと太陽の相対関係が把握できるまで じっと待つ。 離陸機が上昇を始め、 徐々に太陽に迫っていく。 どうやら離陸コースと太陽が交わりそうだ。 構図はヨコ位置で収まると判断、 カメラを構えると同時に離陸機を追いながらズーミング。 次の瞬間、太陽がフレームイン。 ここまでくればもう頭で考えている時間はない。 反射的にシャッターを切った。 思案と幸運の結果もたらされた一枚だ。 * : 現在の秋田空港は「タワー」になっています。 --- End of Text ---
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<<< Genicalights について >>> 写真は光と影の芸術です。 光によって色が表現され、影によって被写体や景色の輪郭が表現されます。 この明と暗の微妙なさじ加減によって、同じ被写体でも景色でも、様々な趣の｢絵(Picture)」が表現できる芸術です。 当コンテンツは、この「光と影」で表現する手法をモチーフにした写真を中心に構成されています。 その他にも、様々な色や季節感、天候や時間などといった写真の本来の使命である「記録」の要素も表現できる写真も盛り込んで、 コンテンツ全体のモチーフとして「飛行機のある風景」を表現しています。 コンテンツ名の は、「Photogenic」の「genic」と光(light)を合成 した造語です。 「光と影を女性モデルを撮るような美しさで表現する」、無理に訳せばこんなところでしょうか？ 美しい女性を前にして胸がときめくように、風景写真にもそんなときめきを求めています。 中には男性的な作品もありますが、「美の追求」を という一語に掛けました。 「写真で表現できる限りない美の追求」、どうぞごゆっくりご覧ください。